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そのフィルム、なぜ剥がれる? 3M担当部長に学ぶ施工トラブルの科学

3M SEAM勉強会で凹凸パネルにペイントフィルムを施工する参加者

知識と経験でトラブルを回避する

サイン業界に身を置いていれば、施工現場で多くのトラブルに遭遇していることでしょう。そうしたトラブルの多くには、科学的な原因と、メーカーが推奨する対処法があります。

今回サインアーテックでは、スリーエム ジャパン株式会社の吉田 典史(よしだ のりふみ)担当部長をお招きし、SEAM※1勉強会を開催しました。

現場で即役立つ施工のノウハウから、実際に起きた数々の失敗事例とその解決策まで。120分超にわたる講義の内容の一部をお届けします。

凹凸のある下地パネルにペイントフィルムを貼り、アプリケーションテープを剥がす様子

同業の方には現場ですぐ使える知識として、発注される立場の方にはフィルムサインの世界の奥深さを知る手がかりとして、それぞれお役立ていただければ幸いです。

【脚注】

  1. SEAM
    3Mジャパンが認定加工店向けに実施している製品説明会プログラム。製品知識から施工技術まで、受講側の要望に応じて内容を組み立てられる。↩ 本文へ戻る

本記事は、勉強会の講義・ワークショップの内容をテーマごとに再構成しており、実際の進行順とは一部異なります。また、製品仕様等については公開時点の3M公式情報を参照し、必要な補足を加えています。発言引用は音声記録をもとに、趣旨を変えない範囲で重複や言いよどみを整理しています。

凹凸面の浮きを解決する「ペイントフィルム」── ワークショップ体験

フィルムの凹凸面の浮きを解決しましょう

講義するスリーエム ジャパン担当部長 吉田典史氏

吉田 典史(よしだ のりふみ)氏
スリーエム ジャパン株式会社 本社 コマーシャルブランディング&トランスポーテーション営業本部 ディストリビューション戦略&パーソナルオートマーケット営業部担当部長

コンクリートや吹き付け仕上げの外壁など、表面に凹凸のある下地。ここに凹凸面への施工を想定していない一般的な塩ビフィルム(※特に後述のカレンダー製法の製品)を貼ると、フィルムが元の平らな状態に戻ろうとする力が働き、時間の経過とともに凹凸の谷から浮き上がってきてしまいます。サイン業界が長く抱えてきた課題のひとつです。

勉強会で行われたワークショップでは、この課題を解決する「ペイントフィルム」を、凹凸のある下地を模したパネルに実際に施工しました。

ペイントフィルムは、塩ビではなくアクリル樹脂を主材料としたフィルムです。3M™の製品説明書では「特殊アクリルを主材料とした塩ビ代替フィルム」と説明されています。

リベットブラシで叩き込んで圧着し、アプリケーションテープを剥がす。しかしこれはまだ「仮圧着」の段階※2です。これから本格的に圧着していきます。

吉田氏:「破れませんから、目いっぱいやってください」
リベットブラシでペイントフィルムを叩き込み、凹凸面に圧着する様子

擦るのではなく、上から押し込むように叩き込んでいくと──まるで直接塗装したかのような一体感のある施工面が現れました。

施工を終えたパネルを前に、吉田氏はこの素材の正体を明かしてくれました。

吉田氏:「このペイントフィルムもアクリル樹脂でできていて、実は耐久性も一般的な塩ビより良いんですよ。そして1番の特徴は、すっごい柔らかいんです。ものすごく柔らかい。だからこの凹凸に対して、ギュッと入っていくんです」

そしてもうひとつ。塩ビのように「戻ろうとする力」が強くないため、凹凸に入り込んだ状態のまま安定し、外壁にも使用できるとのことです。

では、なぜ塩ビのフィルムには「戻ろうとする力」が働くのか。その答えは、フィルムの「作り方」を知ると見えてきます。

【脚注】

  1. 仮圧着と圧着の仕上げ
    実際の施工では、アプリケーションテープ剥離後の圧着仕上げに専用ローラー(PFA-2)が推奨されており、リベットブラシは仮圧着と端部の圧着に用います。今回は小サイズのパネルでの体験のため、リベットブラシで仕上げまで行いました。↩ 本文へ戻る
    参照:【専用ローラー】3M™ ペイントフィルム アプリケーターシリーズ

「3M」のMとは?── スリーエムという会社

1902年創業のミネソタ・マイニング&マニュファクチャリング社と社名の由来

米国ミネソタ州発祥のスリーエム社。社名は創業時の社名の頭文字に由来する。

4兆円企業を支える「49の技術プラットフォーム」

講義はこんな問いかけから始まりました。

吉田氏:「3Mって、何の略だと思いますか?」 答えは「ミネソタ・マイニング&マニュファクチャリング(Minnesota Mining and Manufacturing Company)」。頭文字の「M」が3つ並ぶことが、社名の由来※3です。

創業から間もない頃の代表的な商品は、鋼板表面の水研ぎができるサンドペーパーでした。水に濡らして研磨すると、鉄粉が飛び散らない。環境にもよく、作業する人の健康にもよく、そのうえ均一に削れる──この三拍子が評価され、大ヒットしたのだそうです。

吉田氏:「事業全体として見ますと、約4兆円の事業規模になっております。数年前は6兆円ぐらいあったんですけども、ヘルスケアの会社を分社化しましたので、今は4兆円ぐらいの規模の会社ですね」

その巨大な事業を支えているのが、まるで周期表のような一枚のスライドでした。

3Mの49のコア技術を周期表風に示した図。フィルム(Fi)の区画を赤枠で強調

スリーエムが有する49のコア技術。左上の「Fi(Films)」区画が、私たちが扱うフィルムの領域。

吉田氏:「これはいわゆる物理学の周期表ではありません。3Mが有している、基幹となる技術を視覚化した表です。この表は時代に合わせて変わっていきます。この49のコア技術を組み合わせて新しい商品を作るというのが、開発陣の目標になっております」

私たちが日々扱っている「フィルム」も、この表のひとつの区画。その隣の「粘着剤」の区画である「Ad(Adhesives)」の技術が組み合わさって、現場に届いているというわけです。

では、その「Ad(Adhesives)」の技術は、実際にどう現場に届いているのか。吉田氏が例に挙げたのが、フィルムの位置合わせを可能にする仕組みでした。

ガラスビーズが位置合わせを可能にする「コントロールタック」

吉田氏:「粘着剤の間に、道路標識で使っているようなガラスビーズ※4が綺麗に塗布してあります。表面を触っている時はガラスビーズが下に来ているのでつかない。押し付けてあげると、ガラスビーズが粘着剤にめり込むんですよ。それでつく」

顔を半分だけ出したガラスビーズが、貼り付け前のフィルムを「滑る」状態に保ってくれる。だからこそ位置合わせができ、圧着した瞬間にしっかりと接着する。ピタッとついてしまうと貼り直せない──という現場の悩みを、粘着剤の側から解決した技術です。

ただし、これほどの粘着剤も、本領を発揮できるかどうかは貼る相手(下地)次第です。サイン業界の下地は、あまりに多種多様でした。

【脚注】

  1. 社名の由来について
    スリーエムは1902年、米国ミネソタ州で「Minnesota Mining and Manufacturing Company」として創業。社名のとおり当初は鉱物の採掘事業を目的としていた。↩ 本文へ戻る
    出典:【公式サイト】3M™ の歴史
  2. ガラスビーズ
    粘着剤の表面に配置された微細なガラス粒子。圧着するまではフィルムが基材に密着するのを防いで位置合わせを可能にし、スキージで押し付けるとビーズが粘着剤に沈み込んで接着する。↩ 本文へ戻る
    出典:【公式サイト】コントロールタック™

現場の悲鳴から学ぶ、施工トラブル事例と解決策

下地と素材の「相性」が引き起こす悲劇

吉田氏が語った「実際に起きたトラブル事例」は、同業者なら誰しも心当たりのあるリアルなものばかり。ここでは代表的なエピソードをご紹介します。

まず挙げられたのが、意外にも「くせ者」だというステンレスです。

吉田氏:「ステンレスは、錆にも強くサインにもよく使われる良い基材なのですが、フィルムの劣化が促進される弱点があります。」

熱と紫外線によって粘着剤が化学反応を起こしてしまうのだといいます。特に劣化が激しいのは、青や黒といった熱を吸収しやすい色※5のフィルム。これを対策の一例として、熱を吸収しにくい白のフィルムを一度「捨て貼り」し、その上から目的の色を貼るという方法もあります。

もうひとつ、いまだに事故が絶えないのがポリカーボネートです。

吉田氏:「ポリカに関してはアウトガス※6が出ますので、ポリカ=基本的にはNGということで覚えていただければなと思います。これ、結構あるんですよ。未だに。」

一般的なフィルムを未確認のポリカに施工することはリスクが高く、下地そのものからガスが発生し、貼ったフィルムに気泡が溜まって膨らんでしまう可能性が高いそうです。

なお同じプラスチックであるアクリルの場合も、一般的には問題ないようですが、講義では出荷直後の一部アクリル板で同様の事例があることも紹介されました。

素材の見た目だけで判断してはいけない──フィルムのトラブルの多くは、フィルム単体ではなく「下地との組み合わせ」から生まれるのですね。

最大の敵は「寒さ」

そして、フィルム施工における最大の敵は「寒さ」でした。

吉田氏:「気温が1桁台になったら、粘着剤って極端につかなくなります。札幌に勤務していた時は、ひと冬に2、3回は電話がありましたよ。『つかないんだけど、どうしたらいいだろう』って」

中でも印象的だったのが、吉田氏ご自身が経験されたという真冬の施工現場です。

吉田氏:「私が過去に担当した中でもっとも条件の厳しかった現場は、JR札幌駅のコンコースに全面貼った施工です。真冬の氷点下でした。どうするか──ジェットヒーターを3台、もう集中的に温めるんです。少しずつ、温かい状態にして貼って、そのまま保温する。ついてしまえば大丈夫なんですよ」

知っておきたい、フィルム製法の「キャスト」と「カレンダー」

紙すきと、うどん?

フィルムの製造方法には、大きく分類して2つの種類があります。吉田氏は、キャスト製法は紙すき、カレンダー製法はうどんを伸ばす工程にたとえて説明されました。

キャスト製法のイメージ図。混合した溶液を薄くコーティングし、乾燥炉で乾燥させて巻き取る工程

混合された溶液を薄くコーティングし、乾燥炉で乾燥させるキャスト製法。非常に薄くて柔らかく、施工後もほとんど縮まないため、車のバンパーのような3次曲面にも追従します。スコッチカルシリーズ(XL、J)はすべてキャスト製法です。

カレンダー製法のイメージ図。ミキサーで混練した樹脂を複数のロールで延ばし、シート状にして巻き取る工程

ミキサーで混練した樹脂を、複数のローラーで無理やり伸ばして作るカレンダー製法。厚みとコシがあるため貼った経験の浅い方でも扱いやすい一方、無理に伸ばしているがゆえに「縮んで元に戻ろう」とする力が残ります。

カレンダー製法でも、温めながらであればある程度の曲面には追従できるとのこと。ただしトラックの側面のようなコルゲート(波板)面となると話は別で、そこは素直にキャスト製法を選ぶべきだといいます。

「5〜6年」と「3年」を分ける、実暴露試験

今回ご紹介いただいた3M™製品においては、プレミアムグレードは5〜6年、普段使いのグレードは3年。この数字の裏側にあるのが、実暴露試験です。

吉田氏:「通常こういったフィルムは、促進試験機※7にかけて評価します。ウェザーメーターで300時間だったら何年相当、と。当然それもやりますけども、私どもの会社は実際の暴露試験場※8で耐候性を評価しています」

国内の試験場は山形をはじめ数か所。加えて海外にも試験場を持ち、促進試験機では再現できない実際の気象環境で評価しているとのことです。

耐候年数の表示方法や評価条件はメーカー・製品によって異なりますが、3M™では促進試験に加え実暴露試験を行っているとのことでした。

【脚注】

  1. 熱の吸収について
    色によって大きく変わるのは日射(熱)の吸収率であり、白いフィルムは熱を吸収しにくいため下地への熱の伝わりを抑えるという効能がある。↩ 本文へ戻る
  2. アウトガス
    樹脂などの素材内部に残った未反応成分や水分が、時間の経過や温度の上昇にともなって気体として放出される現象。表面をフィルムで覆うとガスが逃げ場を失い、気泡や膨れの原因となる。↩ 本文へ戻る
  3. 促進試験機
    紫外線・温度・湿度・散水などを人工的に再現し、屋外での劣化を短時間で再現する試験装置。キセノンアークランプ等を光源とするウェザーメーターが代表的。試験結果から耐候性を評価するが、試験時間と実際の屋外使用年数を一律に換算できるものではない。↩ 本文へ戻る
  4. 暴露試験場
    試験片を実際の屋外環境に一定期間さらし、退色や光沢低下を評価する試験施設。促進試験機では再現しきれない気温・湿度・降雨・塩害などが複合する条件下で耐候性を確認できる。↩ 本文へ戻る

【保存版】フィルム施工のトラブル事例と解決策 一覧

本記事でご紹介したトラブル以外にも、勉強会では多くの対策を共有していただいたので、一覧にまとめました。あなたの現場でもお役立ていただければ幸いです。

① 下地・素材との「相性」

トラブルの引き金(原因と現象) 勉強会で紹介された対策
【工場出荷直後のアクリル板への施工】
材料内部からのガスにより、気泡が発生する場合がある。
十分に養生し、必要に応じて施工前に適合性を確認する。
【既存フィルムへの重ね貼り】
古いフィルムに含まれる添加剤が新しい粘着剤を侵し、シワや剥がれを引き起こす。
原則として古いフィルムは剥がしてから施工する。剥がせない場合はリスクを認識したうえで判断する。
【FFシートへの施工】
シートに多く含まれる可塑剤が粘着剤を侵し、剥がれる。
可塑剤への適合性を確認したフィルムを選定する。
【目地部へのコンフォーマブルフィルム施工】
形状記憶性のあるベースフィルムが目地に入り込む一方、(製品説明書で指定されていない)硬いラミネートが追従できず、両者の間で層間剥離を起こす。
ベースフィルムとラミネートの柔軟性を揃える。

② 施工手順・仕上げ

トラブルの引き金(原因と現象) 勉強会で紹介された対策
【原反ロール左右の色差】
同じ向きで貼り並べると、隣り合う面で色の違いが目立つ。
隣り合う面を反転させる「テレコ貼り」が基本。
【メタリックフィルムのテレコ貼り】
反転させると金属パウダーの目の向きが変わり、かえって差が目立つ。
メタリックフィルムはテレコ貼りをせず、順目に貼る。
【「透過フィルム」の突き合わせ貼り】
冬季にフィルムが縮み、継ぎ目から光が漏れる。
突き合わせでは施工せず、3〜5mm程度重ねる(1cm重ねると継ぎ目が目立つため)。
【「不透明フィルム」のラッピング施工】
継ぎ目の処理不足による剥がれ。
1cm(10mm)程度の重ねを取るのが基本。
【ミラー(蒸着)フィルムの水貼り】
完全な金属層を持つため、水分により腐食する。
ドライ貼りで施工し、端部をエッジシールで完全に封止して水をシャットアウトする。
【切り文字・カットアウト文字の施工】
文字が縮みやすく、風圧による伸縮で剥がれる。
切り文字ではなく全面貼りを推奨(大手自動車メーカーの看板も全面貼りが採用されている)。
【プライマーの選定と使用環境】
下地との相性を誤ると密着しない。
水性系と溶剤系で密着性能が異なる。溶剤系を使用する際は必ず十分な換気を行う。

③ 素材・製品の選定と保管

トラブルの引き金(原因と現象) 勉強会で紹介された対策
【用途・耐候性の不一致】
短期用フィルムを屋外で長期使用し、バリバリに割れる。
実暴露試験に基づく耐候性表示を確認し、用途に合った長期用フィルムを選定する。
【メディアの「内巻き」保管】
内巻きにするとラミネートが浮き上がるトンネル現象を起こす(特に硬いラミネート)。
基本は「外巻き」で保管する。
【塩ビフィルムの凹凸面への浮き】
元の平らな状態に戻ろうとする力が働き、時間とともに浮いてしまう。
凹凸追従性の高い、アクリル樹脂製の「ペイントフィルム」を使用する。

実際の施工条件により最適な対策は異なります。個別の判断にあたっては、各製品の製品説明書および3Mの技術情報をご確認ください。

こうして並べてみると、フィルム施工がいかに「下地・素材・気候・経年」という複数の変数を読み解く仕事であるかがお分かりいただけるかと思います。「とりあえず貼れば良い」ではなく、「なるべく長い間美しい状態を保つには何を選ぶべきか」という視点が欠かせません。

そして、一覧の最後の一項──「塩ビフィルムの凹凸面への浮き」。この最後の課題に対する答えこそが、冒頭のワークショップで私たちが体験した、アクリル樹脂製の「ペイントフィルム」だったのです。

初めてのSEAM勉強会を終えて

勉強会終了後、あらためて吉田氏に聞いてみました!

勉強会を振り返るサインアーテック営業部 松本

当社営業部 松本:「3Mさんとして『フィルムの品質』で特に重視していることは?」

株式会社サインアーテック(以下、SA):本日は、長時間にわたりSEAM勉強会を開催いただきまして、ありがとうございました。

長年施工現場に立ち会っている身としては、やはり「3M」ブランドの安心感を感じることが多いです。

今回のSEAM勉強会の記事で、サイン製作会社の皆さんに特に持ち帰ってほしいポイントは何でしょうか?

スリーエム ジャパン株式会社 吉田 典史氏(以下、吉田氏):今回のSEAMは、特に製品施工後の不具合事例を中心にお話をさせていただきました。

サインは様々な場所で使われますので、まず第一に用途、期間、施工する基材にあわせた正しいフィルムの選択が必要です。

次に不具合を起こさぬための知識を増やしていただくことが重要だと思います。不安なことや、ご不明点があれば、遠慮なく当社へお問い合わせください。

SA:近年のさまざまな環境変化の中で、3Mさんとして「フィルムの品質」について特に重視していることを教えてください。

吉田氏:当社では、【用途にあった最適な機能設計】【安定した品質と性能】【使いやすさ・加工のしやすさへの配慮】【安全性・環境・規制へ配慮した製品開発/製造】に注力して、製造開発をおこなっております。

また単なる製品品質のみならず、今回のような情報のご提供も含めて3Mとしての品質をご提供できるよう努めております。

SA:サイン製作会社が、材料選定や施工において最低限押さえておくべきポイントを教えてください。

吉田氏:重要なポイントは以下になります。

  1. 用途・環境にあった材料選定
    屋内外・日射・温度・湿度・下地基材などの条件にあわせてフィルム・粘着剤・ラミネートを選択する
  2. 下地確認と施工前処理の徹底
    汚れ、油分、凹凸、塗装状態など下地基材の状態を確認し、必要に応じて清掃・下地処理、乾燥を適切に行うことで、フィルムの浮きや剥がれを防ぐ
  3. 施工条件と推奨手順の順守
    施工温度、圧着方法、養生時間などを守り、仕上がり品質や耐久性を安定させる

これだけでも施工後にトラブル発生するリスクを大きく低減できます。

SA:今後、サイン・グラフィックス分野で注目している素材や技術のトレンドがあれば教えてください。

インタビューに答えるスリーエム ジャパン 吉田典史氏

吉田氏:「情報のご提供も含めて、3Mとしての品質をご提供できるよう努めております」

吉田氏:サイン・グラフィックス分野では、やはり施工性・作業効率を高める技術が重要になってくるのではないかと思います。実際に施工者の高齢化、減少が続く中で、施工性の向上は極めて重要な事項です。

また昨今の気温上昇を受けて全世界的に遮熱フィルム(日射調整フィルム)への需要も高まってきているものと思います。

当社では建築や車両のガラス用の遮熱フィルムを開発・販売しておりますが、今年8月からマーキングフィルムでの遮熱効果を高めた3M™クーリングフィルム※9を発売開始いたしました。今後車両・施設での労働環境改善やエネルギー使用の効率化に寄与できるものと期待しております。

【脚注】

  1. 3M™クーリングフィルム
    車両の天面などに施工し、日射を反射して車内の温度上昇を抑えるフィルム。日射の85%以上を反射し、追加のエネルギーを使わずに熱の蓄積を抑える設計。トラック・トレーラーや鉄道車両などの運輸・物流用途向けに、2026年9月に発売を発表した。↩ 本文へ戻る
    出典:【3M Japan ニュースセンター】新製品3M™ クーリングフィルムが、車内温度の上昇を抑え、配送効率の向上に貢献

取材後記

3M MCS保証プログラムの仕組み。指定素材と認定店での製作により完成グラフィックスの耐候性を最長6年保証

3M™の基本保証は「製品原反の品質」。3M™ MCS™ 保証プログラムは「完成グラフィックス」まで保証範囲を拡張※10。

MCS™保証プログラム認定証。年ごとの更新が必要です。

吉田氏:「御社が作ったメディアであれば、3M™が保証した対応をさせていただきます。要は御社は認定会社様として、3M™の山形工場が作ったのと同等の品質を担保しますよ、ということを、このMCS™保証が謳っております」
サインアーテックの3M MCS保証プログラム認定証(認定番号MCS-0096)

MCS™保証プログラム認定証。年ごとの更新が必要です。

保証は認定店を通じて提供され、期間は材料の組み合わせや用途、施工条件によって異なります

3M™の基本保証が主に製品原反の品質を対象とするのに対し、「3M™ MCS™ 保証プログラム」は、3M™指定の材料・認定プリンタなどを用い、所定の条件に沿って認定店が製作した完成グラフィックスまで保証範囲を広げる制度です。

信頼のおける製品をつくるために、肝に銘じておくべきこと

吉田氏の業界と技術への深い知見が伝わってきた今回の勉強会。改めてフィルム施工の知見を学びなおすことで、「3M™ MCS™ 保証プログラム認定店」としての自覚を再確認する機会となりました。

フィルムは「作って終わり」の製品ではなく、正しく施工されて初めて完成する半製品です。そして「完成」した後も、屋内外の多様な環境と数年間にわたって戦い続けながら、お客様の看板やサインを支え続けます。

冒頭で触れたとおり、施工現場に立ち会う機会が少ない方にとっても、この記事の知見が何かのヒントになれば幸いです。

【脚注】

  1. 施工後の保証期間
    保証期間はフィルム・インク・ラミネート・プリンタの組み合わせや使用条件により異なり、最長6年間となります。詳しくは参照サイトをご確認ください。↩ 本文へ戻る
    出典:3M™ MCS™ 保証プログラム 及び 3Mパフォーマンスギャランティ
取材協力・資料提供:
スリーエム ジャパン株式会社|https://www.3mcompany.jp/3M/ja_JP/graphics-signage-jp/

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  • 「コンクリートや凹凸のある外壁にも、フィルムでロゴを入れたい」
  • 「窓にステンドグラスのようなデザインのフィルムを貼りたい」
  • 「壁面用フィルムを探しているけど、種類が多すぎて迷っている」

など、フィルムサインの製作・施工についてお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

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