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水を一切使わない、新時代のテキスタイルプリンターの実力

──精巧株式会社様 千葉県・東金工場

Robusto水性顔料インク搭載の画期的なプリンター:Kornit Presto MAX

画期的なNeoPigment™ Robusto水性顔料インク搭載プリンターKornit Presto MAX

千葉県東金市。のどかな街並みの一角に、最新のデジタルテキスタイルプリンターを擁した精巧株式会社様の縫製工場があります。カットソーを中心に国内外ブランドのOEM生産で実績を積み重ねてきたメーカーです。

今回サインアーテックは、日頃より大変お世話になっている上野山機工株式会社様のご厚意により、精巧株式会社様をご紹介いただき、ロール・トゥ・ロール型デジタルプリンター「Kornit Presto MAX」の導入現場の見学をさせていただく機会を頂戴しました。その驚きの性能と現地工場の見学レポートをお送りいたします!

素材から縫製までを一貫して担うカットソーメーカー

精巧株式会社は、葛飾北斎ゆかりの本所・両国エリア(墨田区緑)に本社を置き、千葉県東金市の自社工場では、編地の特性を読み解いたパターン設計から縫製までを丁寧につないでいます。

ファクトリーブランド「IKIJI」のロゴ

ファクトリーブランド「IKIJI」では、「江戸の“粋”と“心意気”」 を受け継ぐ職人たちの技に支えられ、現代のライフスタイルに合った高品質の商品を世に送り出しています。

多様なクリエイターが集う「CREATIVE TEAM」

テキスタイルデザインに精通した専門のクリエイターのみなさんが、「IKIJI」のビジュアルやブランディングを支えており、ブランドの世界観と工場の現場が近い距離でつながっているように感じられ、非常に洗練された印象を受けました!

特許取得済み「DS-CYCLE (DIGITAL SEAMLESS CYCLE)」

循環型デジタルシームレス工程「DS-CYCLE」は、3D CADによるシミュレーションから2Dパターン、グラフィックマーキング(面付け)、インクジェットプリントまでを一気通貫でつなぐデジタルシームレス工程で、2025年1月に特許取得が発表されました。(プレスリリース|PR TIMESより)

DS-CYCLEでは、これらをデジタルデータでつなぐことで、

  • 3D上でシルエットと柄の見え方を確認しながら設計できる
  • 必要な位置に必要な柄だけをプリントし、生地とインクの無駄を減らせる
  • 追加生産や別色展開にも、素早く精度高く対応できる

といったメリットが生まれます。「Kornit Presto MAX」は、この特許工程の最後に位置するプリンターとして機能しています。

さらに、後述のトヨタ縫製システム(TSS)ベースの縫製加工ラインと連動することで、デザインから最終製品までを一貫管理する仕組みとして機能している点も、ビジネス的に大きなメリットがあるように感じました。

東金工場見学レポート

IKIJI公式サイト上にて、ご自身も撮影モデルとして江戸の“粋”で“意気”を体現されていらっしゃる、精巧株式会社 執行役員 佐藤優様のご案内の元、Kornit Presto MAX を中心にレポートします。

特許取得の循環型デジタルシームレス工程「DS-CYCLE」について説明される佐藤氏
【IKIJI 公式サイト「LOOK」】https://store.ikiji.jp/blogs/look/

Kornit Presto MAX の特長

項目 内容
プリント方式 ロール・トゥ・ロール式 デジタルテキスタイルプリンター(シングルステップ)
特長 前処理〜プリント〜乾燥〜巻き取りまで一台で完結
対応素材 コットン、ポリエステル、ナイロンなど、天然繊維から合成繊維・混紡まで幅広く対応
インク 水性顔料インク(ホワイト・厚盛りなどの特殊表現にも対応)
用途イメージ アパレル、インテリア、ソフトサイネージ など

手間のかかる後工程の“蒸し”や“洗い”を不要に!

従来のインクと比較しても、耐洗濯性(洗濯堅牢度)や耐摩擦性を向上させた独自のNeoPigment™ Robusto水性顔料インクを使用し、プリント後は内蔵のモジュラー乾燥システムで即座にインクを定着させ、特に蒸しや洗いといった後処理は一切不要です。

Presto MAXの特長のうち特筆すべきは、プリント、乾燥、巻き取りまでを一台で完結できる「シングルステップ」のロール・トゥ・ロール機であることです。

印刷後、モジュラー乾燥システム(左)内で乾燥後、そのままロールに巻き取られる(右)。

従来の捺染分野では産業障壁となっていたこの前後工程の専用設備が不要になるため、ライン構成がシンプルになり、オペレーターの負担は軽くなりました。環境への負荷も少ないシングルステップ方式は、工場にとっても、ブランドにとっても非常に大きなメリットですね!

生地の種類に依存しにくいプリント性能

次に大きな魅力として、「生地の種類をあまり選ばない」という点が挙げられます。コットン、シルク、ウール、リネンといった天然繊維だけでなく、ポリエステル、ナイロン、スパンデックスなどの合成繊維、さらにそれらの混紡生地までほぼあらゆる布地に対応します。

但し、防水など表面になんらかのコーティングが施された生地ではインクが乗りにくいためNGのようです。

Kornitの最新技術 XDi(Expanded Dimension Ink)による繊細な刺繍表現

薄く伸縮性のある生地への対応

ストレッチの強い生地は送りムラや斜行が起きやすく、長尺プリントでは気を遣うポイントと思われますが、Presto MAX では搬送系のテンション制御と工場側のノウハウにより、生地に適度な張りを与えつつフラットな状態でプリントされていました。

「ストレッチ素材を使ったブランドを、少量多品種で展開したい」という企画側の要望に応えるうえで、かなり心強いアドバンテージだろうと感じました。

テンションをかけながら送り出すことで、シワにならずに送り出し可能に

かなり攻めたヘッドと生地との距離

もうひとつ現場目線で「いいな」と思ったのが、ヘッドと生地の距離を攻めた設定にしても、シワによるトラブルが起きにくいという点です。

生地に常にテンションがかかっている分、表面がフラットに保たれ、ヘッドクラッシュや擦れのリスクを軽減できるとのことでした。

実際に見ていると、かなりのスピードでキャリッジが往復しているにもかかわらず、実に安定した動きです。高品質とスピードの両立を現場レベルで支えてくれるプリンターだと実感しました。

かなり低い位置で高速移動するキャリッジ

信じられますか? 触れると気づく、驚きの質感!!

工場の一角には、Presto MAX でプリントされた生地や、それを用いたアパレル製品のサンプルが並んでいました。NeoPigment™ Softenerを使用することで風合いも柔らかくなめらかな手触りです。

薄く透けているストレッチ素材にも、わずかに凹凸のあるリアルな質感でプリントされています。

NeoPigment™ Softenerを使用することで、従来の捺染のような前工程も不要に!

さらに驚いたのがこのヴィンテージ加工のデニム風の上下です。触ってみてビックリ!!なんとこのデニム、普通の生地に印刷された生地を縫製したジャケットとスラックスだったのです!

NeoPigment™ Robusto水性顔料インクと、専門のクリエイティブ・チームの技と知見が随所に生かされている作品でした!

ヴィンテージデニム感を漂わせる質感も、実は印刷された無地のジャケットとスラックスという衝撃!

東京本社と東金工場をリアルタイムでつなぐ「CONNECT」モニター

印刷区画の上部に設置されているモニターによって、本社と工場が双方向につながり、サンプルの共有やちょっとした打ち合わせもその場で行えるそうです。

物理的な距離をリアルタイムにモニターでつなぐことで、「作っている人」と「企画している人」との距離感が近くなる。結果として、コミュニケーションロスが減り、試作や修正のスピードアップに貢献しているようです。

TOYOTA SEWING SYSTEM (TSS) が支える縫製・加工ライン

別棟の縫製工場

プリント工程を見学したあとは、敷地内の別棟にある縫製・加工工場へ案内していただきました。扉を開けると、広いフロアに産業用ミシンが整然と並び、オペレーターの方々がキビキビと立ち作業で縫製している光景が広がります。ここでは「TOYOTA SEWING SYSTEM(TSS)」が導入されています。

TSSによる一枚流しと品質づくり

TSS は、自動車のトヨタ生産方式を縫製に応用した生産システムで、「一枚流し」が大きな特徴です。大量の仕掛かり在庫を抱えず、必要な分だけを順番に仕上げていくことで、リードタイム短縮と在庫圧縮を同時に実現します。

立ちミシンで複数の作業テーブルを巧みに移動しながら仕上げていく様子

縫製・加工ラインの皆さんは全員立った状態で複数の作業テーブルを活用してラインを流していきます。
最終工程のタグ付け・畳み・包装まで、丁寧に手作業で行われていきます。

前工程の DS-CYCLE+Presto MAX と、後工程の TSS 縫製ライン。この二つが東金工場の中でシームレスにつながることで、「デジタル×縫製」のハイブリッドなものづくりが実現していると強く感じました。

今回の訪問を終えて

サインアーテック(以下、SA)
本日は貴重なお時間をいただきまして、ありがとうございました!
複数の選択肢がある中で、Kornit Presto MAX を選ばれた理由をお聞かせいただけますでしょうか。

精巧株式会社 佐藤 優 様(以下、佐藤氏)
そうですね。環境への配慮が一番です。また、もちろん限られたスペースで行えることで縫製までつながるサプライチェーンの構築もそうですし。

差別化を図る為の特殊なプリントが可能なことに加え、クリエイターがオペレーション出来ることも要因の一つです。

SA
なるほどです。オーガニックコットンのGOTS認証【※1】取得を推進されていると伺いました。業界全体でも重要性が高まるテーマですが、御社としてのお考えを一言いただけませんでしょうか。

佐藤氏
弊社では昨年末より(事業の)ミッションを見直しているのですが、ミッションの一つとして、社会や環境への配慮を掲げようと考えたことが取得への大きな要因です。

海外への販路を見据え、世界の潮流を見たとき、このような認証を取得しておくことは必須になってきます。次の目標は約2年前より進めている B Corp™認証【※2】の取得ですね。

【脚注】

  1. GOTS認証
    GOTS(Global Organic Textile Standard)は、原料の収穫から製造・ラベル表示までを対象に、環境・社会面の要件を含めて「オーガニック繊維製品」を認証する国際基準。出典:GOTS日本語版(公式PDF)
  2. B Corp™認証
    B Corp™は、企業の社会・環境面の取り組みや透明性などを評価し、基準を満たした企業に付与される国際認証。出典:B Market Builder Japan(B Labオフィシャルパートナー)

ファブリック生地へのインクジェット印刷は、世界的に「オンデマンド」「省資源」「ローカル生産」といったキーワードとともに広がりつつあります。

DTG(Direct to Garment)がTシャツなどの完成品へのダイレクトプリントを得意とする一方で、Kornit Presto MAX のようなロール・トゥ・ロール機は「生地からつくる」アプローチで、アパレルやインテリアなど多用途への展開が期待できます。

精巧株式会社 東金工場では、特許取得済みの DIGITAL SEAMLESS CYCLE と Presto MAX、そして TOYOTA SEWING SYSTEM による縫製ラインが組み合わさることで、まさにそのトレンドの最前線ともいえる取り組みが進んでいました。

デジタルで工程をつなぎつつ、人の手による仕上げも大切にする──そのバランス感覚がとても印象的でした。

サインアーテックとしても、「素材としてのファブリック」は、今後ますます重要なテーマになると考えています。

最後に、今回の見学機会をつないでくださった上野山機工株式会社様、そして温かく迎えてくださった精巧株式会社 東金工場の皆さまに、あらためて心より御礼申し上げます!

取材協力:
精巧株式会社
上野山機工株式会社

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