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インクジェットでエコは可能か? PVCフリーってなに?

PVCFREE

インクジェットのエコと考えた時に真っ先に思い浮かべるのが「PVCフリー」ではないでしょうか?

フリーって何?名前は聞いたことあるけど詳しくはわからない。

PVCフリーだと何がエコなの?

という方が多いのではないでしょうか?

 

そういった疑問にお答えします。

目次

 

第1章 インクジェットのエコとは? PVCとプラスチック

  • インクジェットで製作される物
  • インクジェットメディアで使用されるプラスチックの種類
  • 脱プラが叫ばれる理由
  • プラスチックが環境に悪い理由
  • プラスチックのひとつ PVCとは
  • PVCに含まれる可塑剤の恐怖

第2章 インクジェットのエコは可能か?

  • PVCの焼却
  • プラスチックの廃棄方法
  • プラスチックのリサイクル
  • インクジェットのエコ PVCフリー

第3章 インクジェットのエコ PVCフリーのインクジェットメディア

  • インクジェットのエコ PVCメディアの代替品
  • まとめ

第1章 インクジェットのエコとは? PVCとプラスチック

kanban

まずサイン・ディスプレイ業界の現状、特にインクジェットで製作されている物について解説していきましょう。

【インクジェットで製作される物】

サイン・ディスプレイ業界ではインクジェットで製作される物がたくさんあります。

 

例えば

  • 横断幕や懸垂幕(垂れ幕)
  • お店の看板や装飾
  • イベント・展示会のグラフィックや什器
  • のぼりなどの販促品

などがそれにあたります。

 

最近の例ではオリンピック会場の五輪マークがついたグラフィック装飾もインクジェットで出力されたものです。

インクジェットで出力する生地やパネルボードをメディアと呼ぶことがあり、その種類も多数あります。

主なものではターポリンやFFシートなどのテント生地のようなもの、塩ビタックなどの糊付きシート、ポンジやトロマットなどのポリエステル生地、合成紙やPET基材、PP

 

これらのインクジェットメディアは果たして地球環境においてどうなのでしょうか?

【インクジェットメディアで使用されるプラスチックの種類】

インクジェットメディアでは大きく分けて2つに分けられます。

それはプラスチック系と紙系です。

ここでは、特に屋外使用可能で耐久性の良いプラスチックについて解説します。

 

プラスチックは石油や天然ガスを原料として化学的に合成した合成樹脂で、主に炭素と水素からなる高分子化合物です

「プラスチック」を漢字で表すと、「可塑性物質」。成形しやすい物質という意味です。

 

成形しやすいためにプラスチックには実にたくさんの種類があります。

 

  • ポリエチレン(PE)
  • ポリプロピレン(PP)
  • ポリ塩化ビニル(PVC)
  • ポリスチレン(PS)
  • ポリエステル(PEs)
  • PET樹脂
  • ABS樹脂
  • アクリル

 

サイン・ディスプレイ業界でも実によく使われている素材です。

のぼりなどに使われるテトロンポンジはポリエステルの代表例ですね。

どれもプラスチックの一部ですが、世界の流れが「脱プラ」になっています。

 

ここでこう思いませんでしたか?

 

「脱プラ叫んだら仕事になんねんじゃね?」

 

って。

【脱プラが叫ばれる理由】

世界的に「脱プラ」と叫ばれているのは何故でしょう?

それにはふたつ大きな理由があります。

 

  1. プラスチックは原料として「石油」を大量に消費するため、焼却処分をすると二酸化炭素(CO2)が排出され地球温暖化を助長してしまう
  2. 廃棄されたプラスチックがマイクロプラスチックなどとなって海や大気を汚染している

 

 

マイクロプラスチックの問題は海洋生物の生態系の破壊だけではなく、私たち人類にも大きく影響しています。

有名な話ではマグロにはマイクロプラスチックや重金属が多く含まれているとか、食塩の約9割にマイクロプラスチックが含まれていたというものがあります。

 

大気中にもマイクロプラスチックは浮遊しているそうです。

私たちは

「毎週クレジットカード1枚分に相当する5グラムのマイクロプラスチック粒子を摂取している」

という可能性を指摘する研究結果も出ています。

 

恐ろしいですね!

 

以上の理由からプラスチックを減らしていこうということが「脱プラ」の流れです。

【プラスチックのひとつPVCとは】

プラスチックのひとつにポリ塩化ビニル(PVC)があります。

PVCは「塩化ビニル樹脂」とも言われ、一般的に略して「塩ビ」と言われています。

PVCの原料は、「塩素」と石油からできる「エチレン」を反応させてできる塩化ビニルモノマーを付加重合させて合成されます。

 

また、「塩ビ製品」とはPVCを主原料として製造された各種製品の総称で可塑剤を含んだ軟らかい製品「軟質塩ビ製品」と、可塑剤を含まない硬い製品「硬質塩ビ製品」に大別されます。

 

身の回りの物だと浮き輪やおもちゃのソフト人形(ソフビ)、消しゴム、水道管、配管などPVCでできているものは数えきれないほどあります。

PVCでできているインクジェットメディアで代表的なものがターポリン塩ビタックです。

 

ターポリンや塩ビタックは可塑剤を含んだ軟らかい製品「軟質塩ビ製品」です。

 

つまり軟質塩ビ製品の>PVCと、他のプラスチック類との違いは、おおまかに言うと塩素と可塑剤が含まれているかどうかということです。

【PVCに含まれる可塑剤の恐怖】

ターポリンや塩ビタックはインクジェットで非常によく使われるメディアです。

PVCなので可塑剤を含みます。

 

実はこの可塑剤が人体にものすごく悪いと言われています。

可塑剤の種類は多数ありますが20~30種類が一般的に使われています。

その主要なものがフタル酸系で特にフタル酸ビス(DEHP)が代表的なフタル酸エステルで広く可塑剤として使われています。

このフタル酸エステルの危険性ですが急性毒性は低いものの、発がん性や生殖毒性について少なからず報告されています。

 

ターポリンや塩ビシートにもこのフタル酸エステルが使用されています。

第2章 インクジェットのエコは可能か?

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【PVCの焼却】

PVC(塩ビ)は焼却するとダイオキシンが発生すると言われていました。

それはダイオキシンの構成元素に塩素が含まれPVCにも塩素が含まれるため、PVCがダイオキシン生成の元凶のように扱われた時期があったからです。

 

しかし、現在では国が取った施策により、焼却炉を高温改良し運転管理の改善が行われ、ダイオキシン類の生成量は劇的に削減されました。

そう、高温で焼却するとダイオキシンの発生が抑えられるのです。

 

しかしPVCは高温焼却されるものもありますが、ほとんどが埋め立てられています。

その理由はPVCには塩素が含まれており、この塩素が炉の傷みを加速させるからです。

ですから焼却業者は塩素を含んだPVCを焼却したがらないので細かく砕いて埋め立て処分にする場合があります。

【プラスチックの廃棄方法】

一方、アクリル、PET、PP、ポリエステルなどのプラスチックは塩素を含みません。

塩素を含まないため焼却炉も傷めないので廃プラとして焼却されます。

しかし、これら廃プラも焼却する業者もあれば予算の都合で埋め立ててしまう業者もいます。

 

埋め立ては何が問題なのでしょうか?

それは「国土を狭めている」です。

日本は決して国土は広くありません。

 

さらに言えば大量発生源である都市部周辺で新たに処分場を確保することは、規制の強化と住民の反対運動で新規開業する施設が少なく、危機的な状況になっています。特に、関東や関西の人口密集地では処分場が少なく、都会のごみを地方にツケ回す構図が問題となっています。

【プラスチックのリサイクル】

日本ではプラスチックは半分以上がリサイクルされています。

リサイクルできないものが焼却されたり埋め立てられたりしています。

リサイクルの方法は主に3種類です。

 

  • マテリアルリサイクル
  • ケミカルリサイクル
  • サーマルリサイクル

 

特にサーマルリサイクルのひとつにRPFという固形燃料にするリサイクル方法があります。

これは塩素を含んだものではできないので、PVCは無理です。

他のPET、PP、ポリエステル、アクリルなどはRPF化できる可能性があります。

 

このRPFについては別のコラムで解説しますが、ここで言いたいことは

 

塩素を含むPVCはRPF化のサーマルリサイクルに向かないが、プラスチックは可能である。

 

ということです。

【インクジェットのエコ PVCフリー】

それではインクジェットメディアを人体に悪い可塑剤を含んだ、しかもサーマルリサイクルに向かないPVC製品から、RPF化ができるポリエステルやPETなどのプラスチック系の製品に替えればエコと言えるのではないでしょうか?

 

このエコの概念を

PVCフリー

と呼ばれています。

PVCフリーとは簡単に言うと塩ビを使っていない(非塩ビ)ということで可塑剤を使っていない(可塑剤フリー)メディアのことです。

 

このPVCフリーは実はインクジェット業界では昔から言われてきました。

そのたびにメーカーはPVCフリーのメディアやパネルを作ってきましたが従来品の塩ビ素材の製品より価格が高くなってしまうため業界に浸透しませんでした。

 

しかし、この世界的なSDGsの流れの中で「価格が高いから使用しない」とはもう言っていられなくなりました。品質や価格ではなくいかに環境に優しい製品を選択するかという時代になっているのです。

第3章 インクジェットのエコ PVCフリーのインクジェットメディア

【インクジェットのエコ PVCメディアの代替品】

従来のPVCでできているインクジェットメディアは主に下記の製品になります。

 

ターポリン
横断幕・懸垂幕(垂れ幕)・フラッグなど屋外でも耐えられる強度をもつ生地
塩ビタック
看板やウィンドウサインなどに利用される糊付きの塩ビシート
デジタル壁紙
内装の壁で使用されるインクジェット専用壁紙

 

これをPVCフリーのメディアに代替すると

 

ターポリンの代替品

エコクロス
ポリエステル100%の生地で屋外使用できるほどの強度を誇る

塩ビタックの代替品

クイックピット
PET基材の吸着シート
バイオタック®
可塑剤と粘着剤に植物由来のバイオマス原料を使用した、糊付きの塩ビシートとラミネートを組み合わせたシート

デジタル壁紙の代替品

eco壁紙
従来の塩ビ基材とは異なりオレフィン基材を使用

 

これらPVCフリー/可塑剤フリーのメディア詳細はこちら

【まとめ】

インクジェットメディアのエコのひとつの選択肢として「PVCフリー」の製品があげられました。

その理由として

  • PVCは塩素を含むため焼却炉を傷める作用があり埋め立て処理が行われやすい。
  • 埋め立て処理は国土を狭めるという問題につながる。
  • PVCに含まれる可塑剤は発がん性や生殖毒性の危険性がある。
  • 塩素や可塑剤を含まないプラスチックのほうがサーマルリサイクルに向いているそうだ。

インクジェット業界で長年使用され続けてきたメディアはPVC製品やプラスチック製品が大部分でしたが、リサイクルできるプラスチック製品に変えるだけでエコになりそうです。

この「プラスチックのリサイクル」については他のコラムでご紹介します。

また、インクジェットのエコは何も「PVCフリー」だけではありません。

こちらもいつか別のコラムでご紹介していきたいとおもいます。

 

企業側もESG投資などの観点から環境負荷の少ないものを使用する時代がきました。

地球温暖化は凄まじい勢いで進んでいます。

今後はインクジェット業界でもエコにこだわっていかなくてはなりませんね。

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